2008年08月12日
北島康介選手 100メートル平泳ぎで五輪2連覇!!
アテネオリンピックで2つの金メダルを獲得した北島選手。その後彼は、どん底の水泳人生に陥った。翌年の日本選手権では、日本選手に惨敗し3着。06年の日本選手権では、得意の200メートルでもまさかの4位、表彰台にさえあがることはできなかった。彼を指導してきたコーチでさえ、「康介はもうだめかもしれない」といったと言う。2個の金メダルを取ったことにより、「燃え尽き症候群」に陥る一方、マスコミの取材に追われ、練習時間も十分とれず、競技にも集中できなかった。
彼に闘争の火をつけたのはライバルの世界記録保持者のハンセン。一緒に泳いだ国際大会で2秒もの大差をつけられた。それは屈辱的な大敗だった。この瞬間から彼は変わった。厳しいトレーニングに積極的に取り組み、泳法も改良するなどして復活に全力で取り組んだ。「彼ほど練習量の多い選手は他にいない。」コーチにもそう言わしめた。
私は彼の目が好きだ。スタート台に立つ彼の目は、鬼のように鋭く、凄みさえ感じることがある。しかし、レースが終わった彼の目は、少年のようなあどけなさを感じる。このギャップが何ともいえない。1位になった後のインタビューで彼にしては珍しく泣いていた。アテネの時は「超気持ちいい!」と言いやや人間的な軽さを感じたが、今回はしばらくむせんで言葉がでてこなかった。苦しんで、もがいた後のゴールドメダルだけに喜びもひとしおだったのだろう。
その日の夕刊には「北島、涙の快泳」という文字が見られた。栄光と挫折を繰り返し、再び栄光の座に就いた彼の生きざまは、人間の光と影を見るようで強くこの胸を打たれた。
願わくは得意の200メートルで、史上初の五輪2連覇を達成されんことを。それも世界新記録で。