競い合う学びの場
その生徒は塾にやって来るなり、「塾長、ぼく、やばい!」と言いながら、おもむろに成績表を差し出しました。私は「やばい!」という言葉に恐る恐る成績表をのぞくと、何とそこには5計56番という数字があったのです。
この生徒、一学期の期末試験でやっと念願の70番台に入れたというのに、実力テストではこれを上回り、5教科で過去最高順位の54番になったのです。数学が88点で学年7位ということも見ても、これは決してフロックではなく、自力で勝ち得たものだと言えます。
私は常々生徒には、「得意科目を伸ばして、自分の強い武器にしょう」と言って来ました。得意科目は好きな科目でもあり、みな意欲的に勉強します。かといって不得意科目を放っておくわけではありません。得意科目が伸びると相乗作用がはたらいて、不思議と不得意科目も伸びてくるものです。これを地でいったのがA君でした。A君は中学3年生。ほとんどの生徒がクラブ活動を引退して、受験勉強に目の色を変えて取り組んでいる最中だけに価値ある54番と言えます。
次の中3の女生徒は、「塾長!あたりー」と言って、Vサインをしながら満面笑みでやってきました。何のことかと尋ねると、英語の問題で私の予想した長文問題が的中し、それがモロに実力テストに出たと言うのです。しかも出題者によって問題に手が加えられることなく、ワークそのままに出たということでした。百数十ページもあるワーク中から予想しても「まさか、当たるまい」と思っていた私でしたが、生徒の言うとおりまさに「あたりー」であって塾長の面目躍如といったところでしょうか。配点が24点のこの問題に関して、中3生はほぼ全員が完答。うれしいじゃないですか。
中2生のSさん。暗い表情でソッと成績表を差し出しました。彼女の表情から察して、今回はよくないのかなーと思っていたら、何と実力テストの成績は過去最高の18番。
いやー彼女の芸のうまさには驚かされました。彼女によれば私をビックリさせてやろうと一芝居うったとのこと。私はまんまとはめられてしまいました。でも、こんな芝居なら私はいつでも大歓迎です。
同じく中2生のEさん。他塾からエクシードに転入し、急激に成績をあげました。それも16番。成績が下がったことを親からこっぴどく叱られ、一念発起して最高順位を得ることができました。面談しながら喜ぶお母さんの笑顔がすごく印象的でした。しかし、成績をあげたら欲しい服を買ってもらうという親の物量作戦がそこにあったと知り、面談室には3人の笑い声が響き渡りました。
エクシードにはいろいろな生徒が集まってきていますが、うれしいのは学年の垣根を通り越してみんな仲がいいということです。ある高校生は小学生とも仲良くなって、下の名前で呼び合う仲となっています。小学生は、競い合いながら楽しく勉強しています。とくに速読の時間では、どの生徒も顔を真っ赤にしながら見事な速さで読んでいます。
今、私が担当している小3生は、杜甫の「春望」、清少納言の「枕草子」をよどみなく読むことができます。
人は競い合うことにより、もまれ自分を高めることができます。「ゆとり教育」によって奪われた本来の競い合う教育の姿がエクシードにはあります。私たちはこのエクシードメソッドをより一層浸透させようと日々勤しんでいます。