被災地の子供たちに学用品を!
東北の大震災から2カ月になろうとしている。この2カ月は塾業界に携わる私たちにとって「有効で確かな支援の方法」は何だろうかと考えさせられる2カ月でもあった。
塾ではおよそ15万円の義援金が集まった。これは、塾に設置した義援金箱、それと塾の講師の協力によるものだった。特に講師は休日の研修費のすべてを拠出してくれた。驚いたのは、研修会に出席できなかった講師さえもが現金を持ってきてくれたことである。
さて、集まった義援金だが、塾だからできることをしたい。とすると、やるべきことは何なのだろうか。そう考えていた矢先、ある塾の先生から感動的な話を聞いた。この塾の先生も我々と同じように、塾として何かできないだろうかと考えた末、「被災地の生徒にノートを贈ろう」と決心した。
決心するやすぐに行動に出た。保護者や塾生に呼びかけ3.000冊のノートを集めた。そして、それを被災地まで直接もって行くことにした。ノートはダンボールでおよそ10箱。車への重量負担を考えてとりあえず2.000冊を積み込んだ。
午後11時に姫路を出発し、福島に着いたのは午後2時。ある避難所に行くと、「ノートは足りている」とのこと。何カ所かの避難所を回っているうちにいろいろなことが見えてきた。まず、足りているもの・不足しているものが避難所によって違うこと。救援物資は十分届いているのに、分配を担当する人が少ないため倉庫に山積にされていることもある。現地情報を十分確認して行けば、もっと効率的に配布できたかもしれない。が、いてもたってもおられずとりあえずノートを持って駆け付けたその先生の姿勢には頭の下がる思いである。
「必要なものを、必要な人へ」、岩手県遠野市には、物流拠点になっていることから、被災者が欲しいものを自由に持ち帰ることができる“無料スーパー”がある。支援物資と被災者にはズレがあった。震災当初不足していた水・粉ミルクなどは充足し、今は野菜や砂糖、調味料が不足しているという。その点から考えれば、それぞれのニーズに応えることができる画期的な試みといえる。何とこのスーパーにはこいのぼりやふとんさえもあるという。
全国から被災地の子供たちへ、いろいろな形で救いの手が差しのべられている。ある印刷会社は、余り紙で制作したノートを宮城県に、甲南大学では約7000冊のオリジナル大学ノートを宮城県。岩手県に送った。ランドセルのある大手メーカーも集めた3000個の中古のランドセルを直し被災地に送った。
私たちは被災地の子供たちに学用品を贈ることにした。子どもは国の礎。子供たちに笑顔を取り戻してもらうためにも共に助け合う精神「共助」を大切にして、塾だからこそできることをこれからも続けてゆきたい。
私たちの所属する播磨民間教育ネットワークでも、遅まきながら支援プロジェクトを立ちあげ、東北の子供たちのために力を尽くしたいと考えている。