真夏の感動、ロンドンオリンピック!!
いやー、今年の夏は明け方にテレビにくぎづけで、かなりの睡眠不足。それにしても日本人選手の健闘ぶりには感動・感動の連続だった。
オリンピックの間、多くの人間ドラマを垣間見ることができたが、特に印象に残ったのが、「なでしこジャパン」と「卓球女子団体」の銀メダルだった。彼女らの試合の内容は当然賞賛すべきだが、表彰台の上でのはちきれんばかりの笑顔は選手たちが全力でやりきったことを雄弁に物語っていた。
「試合が終わってすぐ、みんな悔しくて泣きましたけど、ロッカールームで宮間選手と大野選手がみんなを呼んで、円陣を組んで、『みんな、悔いなくやった?』『やりきった?』『だったら笑顔で、表彰台に立とう!胸を張って立とう!』って、その言葉でみんな笑顔になって、表彰台に立ちました。は澤選手の弁。
特に女子サッカーの決勝戦は、内容でははるかにアメリカを上回っていた。潔かったのは、アメリカ選手のハンドを見落とした主審のミスを聞かれると、「あれ-と思うこともあったが、我々は審判をリスペクトしている。主審の判定を尊重している」と答えた佐々木監督の言葉だ。
「誰が見ても誤審」と主審を非難する多くの意見があった。対戦相手のアメリカの選手でさえも認めているハンド。裁定が覆らない「悔しさ」はあっただろう。それでも、90分間の熱戦を繰り広げ銀メダルを手にしたなでしこは、誰もが満足げな表情を浮かべていた。「銀」は金よりも良しと書く。まさに金メダルに値する活躍だった。
チームプレーの中で支え合うことにより、底力を発揮できる。女子バレーの銅メダルがそうだった。参加チームの中で一番平均身長が低い日本が中国を、そして韓国をチームプレーで打ちのめした。大型化が進むバレー界の中で拾って、拾って、拾いまくる日本独自の道を世界に示したのではないだろうか。
勝利の瞬間コート内で抱き合い涙を流し、倒れこんだ姿を見て、私の方も涙が出てきた。おめでとう。そして、ありがとうと言いたい。
それにしてもすごかったのは、残り2秒からの奇跡の逆転劇をやってのけたフェンシングの太田選手。フルーレ男子団体準決勝、残り10秒を切ってスコアは38−40となった。この絶体絶命とも言うべき状況から、逆転劇を演じ、日本男子フルーレが史上初めて団体戦での決勝進出を果たし、苦しみながらもつかみ取った栄誉だった。
金メダルがなかったと言え、水泳選手の健闘にも特筆すべきものがある。特にメドレーリレーで男女ともにメダルを獲得した。アテネ、北京で2大会連続2冠を達成したが、今大会は個人でメダルを逃した北島康介選手。松田丈志、入江陵介、藤井拓郎の3選手は「康介さんを手ぶらで帰らすわけにはいかないぞ」という合言葉のもとメドレーリレーに臨んだ。松田選手は「これは(競泳陣)27人で取ったメダル」だと言い切った。
アーチェリー女子団体の銅メダルには、びっくり。蟹江選手は「(メディアが)全然マークしていない競技がいきなりメダルを取って驚かせたいなって」と笑った。
卓球女子団体で銀メダルを手にした福原愛選手。3歳から始めた卓球。「小さい時から五輪でメダルをとるのが夢で、夢はちゃんとかなうんだな、頑張ってきて良かったなって……」と泣き虫愛ちゃんの涙が止まらなかった。
「この銅メダルを被災された東北の方々にささげたい」。男子ハンマー投げの室伏広治選手は、宮城県石巻市の子供たちから託された日の丸を手に、ウイニングラン。震災復興を進める日本の「強さ」を世界にアピールした
彼らのインタビューには、「多くの人の支え」「感謝」「絆」という言葉がひんぱんに出てくる。それが彼らの支えであり、エネルギーの爆発につながっている。
ただ単にメダルを取ったのではなく、人間的な勝利でもあったのだ。プレッシャーから解き放たれた彼らの言葉を聞いていると、「さすが-」と言いたくなる私だった。