たかじん、逝く
また一つ、大阪の灯が消えた。
年始早々、訃報が飛び込んできた。あのやしきたかじんが亡くなったというのだ。「なに死んでくれてんね」宮根誠司アナウンサーの言葉にもうなずける。私はたかじんは死なないと思っていた。また、死という言葉が一番似合わない男だとも思っていた。
たかじんは一言で言えば豪放磊落、歯に衣着せぬしゃべりっぷりで、ホント面白かったし、また歌もうまかった。
私はたかじんのデイナーショーを見に行ったことがあるが、ショーの6割はしゃべくり。そのしゃべくりがまた面白かった。しゃべくりと歌のギャップにすっかりはまってしまった私は、それからたかじんに魅せられるようになってしまった。
彼の口癖は「東京は嫌いや!」だった。東京で失敗したことがあったにせよ、大阪をこよなく愛した歌手であり芸人だった。天童よしみのような東京で失敗した芸人を見事関西で甦らせたり、テレビ業界から追放されたような芸人を復帰させる時も、自分のことのように根回しに走り回る人だった。
たかじんの凄さは、向こう気が強く、我々が抱く破天荒なイメージとは異なり、彼はとても優しく、きめ細かい心遣いの人だったと話す仲間の多いことだ。彼は真からの大阪人だっただろう。
関西で「たかじんの‥‥」とつく冠番組は3本もあった。彼の死後、まだその冠がついたままだというのも凄いし、楽屋もそのまま置かれたままだというのも凄い。
「たかじんのそこまで言って委員会」はよく見た。我々の怒りを代弁するような喋りで、政治家や著名人にかみついていた。政治・経済など大胆に斬るトークは、他では見られない本音が聞ける番組だった。
いつも突っ張っているが、カッコよく、人には決して弱みをみせない。そして、風のように我々の前から去っていったたかじん。
妻に残した最期の言葉は彼らしく「ちょ〜飲みに行ってくるわ」だった。
今日はいっぱい酒飲んで、たかじんの「やっぱ好きやねん」「東京」を歌いまくろ。