2021年04月13日

松山英樹マスターズ初制覇

 歴史と伝統あるゴルフの大会の最高峰マスターズで、松山英樹選手は苦しみながらも踏ん張り、1打差で逃げ切り優勝という歴史的な快挙を成し遂げた。

私はこの4日間は、午前4時に起き、テレビにくぎ付けになった。特に最終日の後半は池にボールを入れるなどハラハラドキドキの展開だっただけに、喜びもひとしおだった。
今年の松山選手は昨年までと違っていた。それは失敗しても悔しさを表すことなく、時には微笑んでもいた。そんな所作が優勝を呼び込んだのかもしれない。


 そんな中、1つのシーンが目に留まった。 それは、松山選手が優勝を決めた直後の早藤将太キャディーの振る舞いだった。
優勝を決めると、最終18番ホールで手にしていたピンを持って、ピンの旗をとった後、(この旗は優勝者にプレゼントされるとのこと)ホールに戻した。

その直後、彼は帽子をとって、コースに向かってお辞儀した。 早藤氏が、松山を勝たせてくれた名門コースに、お礼の気持ちを伝えたのか、拍手を送ってくれたパトロン(ギャラリー)に思いを伝えたかったのかどうかは、分からないが、胸を打つ、すがすがしいシーンだった。
そういえば、全英女子オープンを制した渋野日向子も、最初のホールに入る際に、お辞儀をしていた。

 メジャーリーグでもベンチで両手を合わせてチームメイトにあいさつするシーンは何度も見たことがある。 松山選手の偉業は、日本人初という形で強調されがちだが、たとえ日本人初であってもなくても、彼を支える人のこのような行いににスポットライトが当たることも、うれしく誇らしく思う。


 このキャデイー早藤氏は、松山の晴れ舞台、優勝セレモニーでグリーンジャケットに手を通した時、グリーンの脇で、正座して背筋を伸ばし正面から見つめていたシーンはまた印象的だった。
最終日同じ組で回ったシャウフェレ。「ヒデキはすごい選手。彼は勝者に値するプレーをした。まるでロボットのようだ」と、正確なショット力や精神力を賞賛した。


また、日本人初の快挙を祝福するため、わざわざ空港から会場に戻ってきてくれたのは、米通算5勝をマークしているケビン・ナ。「ヒデキのためにもここに居たかった。スポーツにとっていいことだし、アジアのゴルフ界にとっても良い事」と語っている。
 37歳のナは米国籍だが韓国生まれ。「いつかメジャーで必ず(松山が)優勝すると彼に言ってきた」というナは、今回のマスターズ制覇について「とても意味深いもの」と語っている。
 やはり、一流の選手はスゴイ。心が技術を呼び、技術が心を鍛え上げている。


タイガーウッズは「日本が君を誇りに思っている、ヒデキ」「これだけの大きなことを達成した君と、君の国におめでとうを言いたい。今回の歴史的なマスターズ制覇は、ゴルフ界全体にインパクトを与えるだろう」と述べている。


松山は「今からゴルフを始めるとか、いま10代、高校生とかの子たちの方が影響があるのかなと思う」と語った。
「僕が初めてのメジャーチャンピオンになったことで、今までは日本人だったらできないんじゃないかというのがあったかもしれないけれど、そこを覆すことができたと思うので、そういう子たちにプラスの影響を与えられるようにまた頑張っていきたい」と語った。

「美しく感動的な瞬間」を見ることができた。「これがまた新たなマスターズの伝統になる」ことだろう。おめでとう。そしてありがとう松山英樹選手。


この選手にしてこのキャデイあり。そう思わせる今年のマスターズだった。

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