国葬に思う
野田佳彦元首相が「葬儀に出ないのは私の人生観に外れる」と述べて国葬に出席された。私も味わった重圧と孤独を最も長く経験された方だ」としたうえで、「長い間お疲れさまでした、と花を手向けてお別れしたい」とも語った。
政府と意見は違うが、今は静かに花を手向けようという、真っ当なことを言う人がいたのだと思うとホットした。
安倍氏との党首討論を思い出す。当時首相だった野田氏が「16日に解散をします。やりましょう」と宣言した。自民党総裁に返り咲いたばかりの安倍氏が驚きの様子で、「約束ですね、よろしいんですね」と繰り返し確認した。歴史に残る名対決だった。
菅前首相の追悼の辞
菅前総理訥々と、なんの飾り気も、誇張もなく、真っ直ぐな思いで語られ、盟友だからこそわかること、盟友だからこそ見てきた素顔がしみじみと伝わり、どんな美辞麗句よりも心に響く追悼の辞だった。
終わりには、期せずして拍手がわき上がり、普通なら有り得ないが、違和感より感銘ある場面だった。
安倍元首相は、
課題が山積した日本で国政と外交を8年勤めた。これはどれほどのことか。周りすべてにいい顔をしていては総理など務まるはずなどない。そこには絶対に曲げない信念とビジョンが必要になる。まさに不世出の政治家だったと言える。
議員会館の机の上に残された安倍氏の読みかけ本があり、そこには
山県有朋が、長年の盟友、伊藤博文に先立たれ、故人を偲んだ詠んだ歌だった。
この歌は、菅元首相の今の心境を表したものだという。
かたりあひて 尽くしし人は 先立ちぬ 今より後の 世をいかにせむ
粛々と国葬が進む中にも汚い言葉で罵るデモも本来の日本人の姿では無い。
同じ目的を持った朋友の死を貶めることにばかりに心血を注ぐようなら、もはや政治家ではない。国のために最後まで働いた方々の死を素直に悼むことができる人が一人でも多くなれば、日本の未来もより明るくなるのにと思う。
安倍さんの目指した「美しい日本」はいつ来るのだろうか。
『日本人よ、世界の真ん中で咲き誇れ』
安倍さんの言葉が聞こえる。