2019年07月17日
「打倒・強豪」果たして涙 公立進学校が報徳学園を撃破
9回2失点で完投した、加古川西の藤原俊吾
(17日、高校野球兵庫大会 加古川西4―2報徳学園)
試合終了後の整列。過去一度も甲子園出場経験が無い加古川西(兵庫)のエース、藤原俊吾(3年)は泣いていた。負けたからではない。公立校が、甲子園で春夏通算3度の優勝を誇る強豪校を破った。勝ったことが信じられなかったから。昨夏全国8強の報徳学園相手に、9回2失点で完投した右腕は「うれしいけど、全然実感はないです」。
まずはバットでチームを勢いづかせた。一回2死走者無し。2ボールからの3球目。内角高めの直球を思い切り振り抜く。「直球をはっていた。完璧なあたりだった」と藤原。左越え本塁打で先取点を奪った。
「低めへの意識と、気持ちでは絶対に負けないようにマウンドに立った」という投球でも持ち味を発揮した。有効だったのは、今大会から本格的に投げ始めたというカットボール。横手投げから繰り出す直球に近い少し動く球で、相手のバットの芯をことごとく外した。27個のアウトのうち半数以上がフライアウト。「打たせて取る投球ができた。これまでで一番の投球だった」
加古川西の練習日誌の表紙には、「打倒・強豪」と書かれている。進学校のため、勉学にも力を入れる。今月上旬には期末テストがあり、その期間中の練習時間は約1時間。夜も徹夜で勉強するため、朝練もできなかった。そんな環境でも、強豪校と互角以上に戦えることを証明した。
校歌を歌い終え、バッテリーを組む高見心太朗(3年)とベンチ前でキャッチボールをしているときに、藤原の顔にやっと笑みがこぼれた。
「ひとつ目標を達成できた。次も強豪相手に勝てるようにチームを引っ張ります」